南極に開設されているアマチュア局のコールサインですが、
現在は8J1RL,8J1RFの2局でしょうか。
8J1RMは廃局になったようですね。
1980年ごろのコールブックには、個人局として、8J1AAから何局かが掲載さ
れていました。
全て2文字コールであり、3文字はありません。
これらのコールサインは南極のカテゴリに分類されて掲載されていましたが、住所は、本土の住所が記載
されていたように記憶しています。
どのような経緯で発給されたのか、ぜひ知りたいところです。
がんばって書きます.
現在あるのは,8J1RL,8J1RFの2局です.
廃局...というか,基地自体が閉鎖されたのは2基地で,
「みずほ基地」と「あすか基地」です.
コールサインは共に8J1RMでした.
それ以前には,南極観測隊員となる「個人」に対して 8J1AA~8J1AD として個人局が免許されていました.
「社団局」が制度化されたのは1959(S34)年12月22日でした. これは時間軸上では第1~4次越冬隊(後出)よりもあとになります. ですので,それまでは必然的に「個人局」とならざるを得ません.
コールブックでのカテゴライズは“特殊局”(手持ちの78年版の場合).
掲載住所は,8J1AA:銚子無線の受信所,8J1AB・8J1AC:日赤本社,8J1AD:未掲載――となっています:
その後,一旦中断された日本の南極観測が,観測船「ふじ」をもって再開された際,共用の「社団局」として8J1RLが誕生したわけです. 1966年3月のことでした.
また,8J1AA以前には,通常コールサインのJA1JGがいました.
第1~2次越冬隊(後出)のころには,日本は「8J」をまだ得ていませんでした. 日本が「7J, 8J」を得たのは1958(S33)年10月23日です(11月1日付でITUから各国あてに通達). ですので,それより前には「JA~JS」とならざるを得ません.
なお,昭和基地ではありませんが,アルゼンチンの基地から運用された「別の8J1AB」があります(本稿末尾参照).
「日本ハム連合」(岐阜市)の戸崎OMによるものです.
コールブックの住所は岐阜市になっています.
下表にまとめます:
ロケーション | コールサイン | 免許人 | 越冬隊 | 年 | 備 考 | 社団局制度 | 8J日本割当 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
昭和基地 | JA1JG | 作間 敏夫 | 第1次 | 1957 | 南極初,ex-JA3VO | なし | なし |
8J1AA | 高室 功 | 第3次 | 1959 | JA1CKQ, JA1HID | あり | ||
8J1AB | 榎本 〓 | 第4次 | 1960 | ||||
8J1AC | 佐藤 和郎 | JA2KS | |||||
8J1AD | 西部 暢一 | 第5次 | 1961 | あり | |||
8J1RL【現存】 | JARL | 第7次~ | 1966.3~現在 | ||||
みずほ 前進基地→観測拠点→基地 |
8J1RM | 第20~27次 | 1978~1986 | 以降は無人気象観測. 前進基地の開設は1970(S45).7.21[11次隊]. | |||
あすか 観測拠点→基地 |
第28~32次 | 1987~1991 | 以降は無人気象観測. 観測拠点の開設は1985(S60).3.26[26次隊]. | ||||
ドーム富士 観測拠点→基地 |
8J1RF【現存】 | 第44次~ | 2003~現在 | 観測拠点の開設は1995(H7).1.29[35・36次隊]. | |||
アルゼンチン メルチョール基地 | 8J1AB | 戸崎 重明 | ― | 1970.7~75.7 (免許期間) |
JA2GXQ,JH9RHL,JD1ADG | n/a | |
大竹 武 | ― | 海外運用の先駆者達 ~20世紀に海外でアマチュア無線を運用した日本人達~ その2 20世紀後半の概観
http://www.fbnews.jp/201305/rensai/ja3aer_kaigai_senkusha_02_03.html "なお、南極の2件はKL7YR大竹武氏からのレポートであるが、昭和基地からの運用ではない。" (アラスカ大学名誉教授;KL7YR,ex-WL7BBE) |
“〓”は,“サンズイに「市」と「元」”という字.
・2次隊 …… 8J1AA
・3次隊 …… 8J1AB, 8J1AC
ハムフェア2004で,「南極ドームふじ8J1RF局運用報告」という講演がありました.
そのスライドの中で,8J1RLの局免が映される(会場総乗りだし!)という場面がありました.
それによると,常置場所は国立極地研究所,出力は,なるほど移動局なので50Wとなっていました.
(「無線局免許情報検索」では,常置場所が表示されません.出力はわかります.)
なお8J1RL,8J1RFはJARLの局で,
「連盟が開設するアマチュア局(レピータ局及び遠隔操作局を除く。)に関する規定」
のなかで,『南極局』とカテゴライズされています[2条(4)].記念局ではありません.
管理者については,JARL会長からの委任で,『南極局については、南極地域観測隊長若しくはこれに準ずる者とする。』と定められています[6条2(1)].
また,南極局のQSLカードは以下に紹介されています:
JARL Web/南極情報/8J1RL/8J1RF QSLカード
「DX HANDBOOK」は,「8J1RMは,1970年から運用があった」――としています.
しかし前述のURLや,JARL資料室におけるQSLカードの掲示は,第21次隊(1980年)のものからです.
また,手持ちの1972,1978各年のコールブックへの掲載もありません.
一方,CQ誌1979年1月号p.420「JARL月報」に8J1RMの免許を報告する記事があります.
したがい本ページでは,「1978年から」としました.
その20次隊から実運用があったのか?は,不明です.
「DX HANDBOOK」は,「あすか観測拠点を8J1RN」――としています.
しかし前述のURLによると,「みずほ基地」と同じ8J1RMとして運用されています:
・1986年27次隊のカードまで……「JARL MIZUHO STATION」,
・1987年28次隊のカードから……「JARL ASUKA STATION」.
また8J1RMが“移転”されたことを示す確証も見つかりました[JARL NEWS 1996年12月号p452]:
したがい本ページでは,「あすか観測拠点も8J1RM」としました.
|
冒頭でも触れましたが,8J1ABは2局あります.
アルゼンチンの南極基地:メルチョール基地から戸崎重明OM(JA2GXQ,JD1ADG)が運用した,もうひとつの8J1ABです. 免許期間は1970年7月~1975年7月でした. 左はCQ誌1975年12月号p.389から.曰く―― 「8J1のプリフィクスは終身コールでないことで,8J1AAだけは国際登録されているので例外.それ以外は,つまり8J1ADまではすでに免許期間切れ.このたび戸崎重明OMが,個人局では唯一の8J1として免許されたのであるが,その期限も切れたので,再び8J1ABを申請,間もなく継続免許としておりるはず.QSLの宛先を間違えないようにしてください.」 いまメルチョール基地(Base Melchior)には,LU1ZBがあります. 参考: http://es.wikipedia.org/wiki/Base_Melchior メルチョール基地の位置 http://es.wikipedia.org/wiki/Archivo:Argentine_Antarctica_bases_map.jpgから |