ここではつぎの8作品を扱っています:
このほかにも同様趣旨のリソースがありますので,併せてご参照ください.たとえば...
スキー場でのハンディ機の使用を定着させた映画「私をスキーに連れてって」(1987年8月公開).その作品中でのアマチュア無線のシーンを解析します. タイムカウンタはDVD――PCBG-50461――のものです.
役名 | キャスト | コール サイン | 出現タイムカウンタ | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
5m 04s | 11m 22s | 1h 03m 07s | 1h 10m 21s | 1h 23m 01s | 1h 33m 32s |
|||
矢野文男 | 三上博史 | JM1OTQ | 呼出 | 無応答 | 応答 | |||
泉 和彦 | 布施 博 | JH1TUR | 呼出 | 呼出 | ||||
羽田ヒロコ | 高橋ひとみ | 応答 | 呼出 | 応答 | ||||
小杉正男 | 沖田浩之 | JO1MHN | 応答 | 応答 | ||||
佐藤真理子 | 原田貴和子 | PVD | 呼出 | 呼出 |
で,「ほんとうの持ち主」は以下のとおりです:
じつはこれら,ホイチョイ・プロダクションのメンバのコールサインなのでした:
いちおう発給時期を検証しておきますと...
JM1OTQは1980年.
設定の1988年からすると,8年前に開局していることになる.
つまり劇中の「矢野」の高校卒業の頃に相当.
JH1TURは1968~9年.
これでは劇中の「泉」は小学生になる前になってしまう.
劇中のコールサインは再発給分(1987年)とみるのが妥当.
しかし,「ほんとうのJH1TUR」は初代・芹沢OMが保持しており,再発給はされていません.
JO1MHNは1982年.
劇中の「小杉」の二十歳前後か.
ウィルスのために南極を除いて人類が絶滅する映画「復活の日」.そのアマチュア無線のシーンを解析します. 露出度は結構高いです. なんといっても助監督がJA3CUK藤山顕一郎OM,オペレータの一人がW2SRM. 自然な演技に好感が持てます. 邦画では前項の『私をスキーに連れてって』と,この『復活の日』がイチオシです. 双方ともアマチュア無線がないとストーリーが進行しません.
小説版で登場する局は以下のとおり:
カッコ書きの「ページ」は,1998年発行のハルキ文庫版「復活の日」によります(ISBN4-89456-373-8).
実在のJA7GKは盛岡在住の藤田OM,同じくJA6YFは熊本在住の下川OM.WA5PSはこのWeb原稿執筆時点でアキ.
原作の小説は1964年8月に発表され,1969年が物語の舞台だった.
(昭和基地の8J1RLが開設されたのは1966年で,原作の発表よりもあと.
ただし原作の執筆時期までには,JA1JG, 8J1AA~ADとして個人局が開設されていた.)
映画化は1980年.その際は物語の舞台は1982年とされた.
北極のJG1QFW 植村直己と,JM1SGM(初代)のXYLとの交信シーンがあります.
実在のコールサインが使われたのは,この映画と,前出『復活の日』の8J1RLだけです.
ただ,8J1RLはテレビ放映されたときには,“はちジェイいちアールエル”と読まれていて,当時話題になりました.映画は英語でした.
第36話『怪獣軍団ミラーマンを襲う ―五大怪獣激斗―!』の冒頭です.つぎのようなシーンがあります.
周波数チェックは忘れずに.
第21話『怪獣チャンネル』で,ストーリー構成の重要な要素となっています.
成層圏に棲み,電波を食べる怪獣『ビーコン』の登場するエピソードです.
まず9分11秒~51秒のシーン:
(とあるアマチュア局にて)
CQ fifteen, CQ fifteen, CQ fifteen, CQ fifteen.
あれ?
This is JA1JRQ, this is JA1JRQ.
(名古屋章のナレーションが入る)
午後2時,江戸川区に住む土建業・中村シンさんの長男,ツトムくん11歳がコールしていた, 21メガヘルツのハムの電波が,突然途絶えた.
ツトムくんは,やっと電話級の資格を取ったばかりで, きょうは,アメリカにいる親友のジョージくんと交信の約束をしていたのだ.
この日一日『ビーコン』との戦闘に手を焼き万策尽きたMATは,
いよいよ午後5時すぎになって,東京中の電波の封鎖を決意.
唯一,南隊員の乗るMATアロー(2号)から電波を発信することで,ビーコンの海上への誘い出しを図ります.
ところが,ツトムくんが電波を出してしまいます.
が,さすがはウルトラマン.ちゃんとアマチュア無線にも造詣があります.
17分30~18分11秒のシーン:
(MAT本部にて)
上野隊員:たいへんだ,江戸川区から別の電波が流れている!
郷隊員: なんだって?
上野隊員:21メガヘルツの高周波だ.
郷隊員: アマチュア無線だ!
(ツトムくんのシャックにて)
CQ fifteen, CQ fifteen.
あれ?また切れちゃった.
CQ fifteen, CQ fifteen.
こちらJA1JRQ,こちらJA1JRQ
CQ fifteen, CQ fifteen. どうぞ.
かくしてビーコンは江戸川区に出現.
このあとのMATビハイクル2台の間の無線のやりとりから,ツトムくんのQTHは「大和町2丁目」と判ります.
それでも怪獣が迫っていることも知らず,ツトムくんはジョージくんを呼び続けます.
が,さすがに夕方の21MHzではWとは...
もとへ,ビーコンが電波を吸収してしまうために,なかなかつながりません.
20分39~50秒:
(ツトムくんのシャックにて)
ジョージくん,ジョージくん,聞こえますか?
ジョージくん
あっ!
となって,家(中村組)ごと怪獣に襲われてしまいますが,郷隊員が助け出します.
(無線をするときには周囲にも目を配りましょう.)
で,実在のJA1JRQは千葉市在住の市原OMです.
なお,このビーコンの退治を最後に翌22話冒頭にてMATの加藤隊長はMAT宇宙ステーションに転任. 後任にはニューヨークの本部から伊吹が新隊長として赴任してきます. 伊吹隊長になってからは,「隊長」であることを表すために,(1) コスチュームの胸の黒色のVラインが二重線となり, また,(2) 乗機となるMATアロー2号には,機首と垂直尾翼に黄色のラインが入りました.
PART-III 第46話『冬の軍団長』.
無線電話の傍受から,野上経済研究所による殺人計画を知ってしまった海賊放送局「東京ボヘミアン」のDJ:キダ・ショウイチ.
キダは録音テープと引き替えに現金500万円の入手を企てます.
しかし取引に失敗.
野上経済研究所はキダを殺し,さらにそのテープを求めてキダの仲間を探します.
...で,2局の風景が出てきます.(オープニングフィルム込みで20分を経過したあたり.)
1局目はで,このあとたまたま映り込んでいた住居表示から「...丁目7」と判りますがそこまで.
2局目はからカメラがパンして降りてくると,と局名票が映ります.
左側にウサギのイラスト;右側上段にJA1-MOE,同下段に「アマチュア無線局」と記されています.
コールブックによると,JA1MOEは中央区入船の高田OM.
しかし実際にOM宅でロケされたのかは,不明です.
物語は,このあと
団長:「どういうことなんだ?」
大将:「団長,やつらアマチュアの...なんていうか...放送局を次々と歩き回っているんです.」
団長:「アマチュア放送局?!」
大将:「ええ,キダ・ショウイチのことを探し回っているんです.」
団長:「よし判った.尾行を続けてくれ.」
と続いていきます.
このほか,同番組ではいろいろなアマチュア関連グッズが出てきます.
それらについてはJE4URN 作『西部警察で登場する無線機』
http://park1.wakwak.com/~je4urn/musen.htm
でご覧下さい.
第45話『デスレムのたくらみ』,2007年2月24日放映.
アマチュア無線のおかげでストーリーが展開した例.
月からの帰還途中,人質にされてしまったGUYSの「フェニックスネスト」.
ウルトラマンメビウスとGUYSは,デスレム(策謀宇宙人)と闘うことができず,市民からの非難が高まります.
きくち電器商会――社長役はきくち英一,帰ってきたウルトラマンの中に入っていた人――
が,GUYSに理解を示す中,店内のリグからの音声が流れてきます.
番組開始から12'17"ころ:
「CQヨンサンマル CQヨンサンマル こちらのコール ジュリエット・シアラー・ワン ジュリエット・シアラー・ワン」
人質となったGUYSのクルーは,地上の仲間に気を遣い,「俺たちは還れなくてもいいから」と,なんとか伝えようとします:
テッペイ 「ぼくらの気持ちを,ミライくん(=メビウス)に伝えましょう」
リュウ 「そんなこと,できるのか?」
テッペイ 「基地との回線は死んでいますが,
あらゆる周波数帯の電波を発信すれば,
どこかで誰かが拾って,
基地に知らせてくれるかもしれない.
それが...ぼくの最後の仕事です.」
きくち電器商会にもデスレムが迫り,まさに逃げだそうとしているとき,
リグにこの呼びかけが飛び込んできます.
21'28"ころのシーン.
テッペイ「通信を....している方,応答願います.
こちらフェニックスネス...です.
受信できる方は...」
社長 「フェニックスネス,サムシング,こちらのコール,JK1」
社長は,テレビ局のKCBに「フェニックスネストからの電波を拾った」と通報.
中継車が出向き,リグの前で音を拾うシーンを街頭ディスプレイに中継.
「構わず闘え」「街の人を守ってくれ」というフェニックスネスト(リュウ)からの声を聴いた市民は,GUYSに対する見方が好転.
このあと,人質となったGUYSを守るべく,帰ってきたウルトラマンが加勢.
メビウスは無事にデスレムを倒します.
公式ホームページの「Webメビナビ」(http://hicbc.com/tv/mebius/webmebinavi/index.htm)
には,
「50メガヘルツ帯の電波」と明記されています.
(オンエアでは触れられていません.)
『オーロラの彼方へ』の香港・台湾版といったかんじです.
皆既月食を契機に,時間を超えて――1981年と2002年――アマチュア無線で繋がってしまう物語です.
劇中のコールサインはDS1AVφです.
設定は中国なんですけどね....
流用元である韓国映画の『リメンバー・ミー』そのままのためです.
ただしもちろん,末尾は「φ」でなく「O」でした(DS1AVO).
第10話『遠くの君へ』,2024年9月14日放映.
カズオ,JP1514 (Juliet Panther One Five One Four)は,宇宙からのメッセージを受信.
その後,その「フィオ」(声:佐倉綾音)と,スケジュールQSOを組むほどの仲になる.
カズオにとって“初めての友達”と.
フィオ側は翻訳機――ことわざの用法に難あり――を使用.
何光年も離れていてもリアルタイムで話せる不思議.
「1年前からのおかしな電波」の影響か?とカズオは仮説.
フィオが住んでいるのは,もうすぐ滅びる星.
環境汚染が進み,外も歩けないほど.
汚染に耐えられず,人口が減り,いまはもう一人だけ(まるっとは,イスカンダルとスターシャの構図).
フィオは,最後に誰かと話したくて,宇宙に向かって電波を飛ばした――と,
その電波に乗って,宇宙怪獣が衛星軌道に.
SKIP: Scientific Kaiju Investigation and Prevention Centerは,何日間か正体不明な電波を検出していた.
星元市の受信元たるカズオのシャックに,「不審な電波が観測されていて」と,SKIPのユウマ(ウルトラマンアーク)が訪ねてくる.
カズオとユウマは8年ぶりの再会.
カズオにとって,中学時代,やたらと話しかけてきたうっとおしい同級生がユウマだった.
カズオ受信している電波が,宇宙から怪獣を呼び寄せていた.
かくして怪獣「ノイズラー」が,星元市に降下.
ウルトラマンアーク登場~対決.
フィオが交信に使えるエネルギーも払底しかけ,ファイナルに.
カズオがフィオに呼びかけても無応答.
その間,振動するエネルギー(音波・電波)を取り込む特性があるノイズラーは,ウルトラマンアークの八つ裂き光輪に釣られて宇宙の彼方へ.
再びカズオにフィオの声が届くようになり,最後のあいさつ.
フィオの星のエネルギーが尽き,お別れに:
「私の電波を拾ってくれたのが,あなたでよかった.さようなら,私にできた最後の友達.」
ユウマの同級生・カズオはアマチュア無線愛好家であり、鬱屈とした日常の中で夜な夜な無線で「フィオ」と名乗る人物と交信することが唯一の幸せな時間だった。 だが、その「フィオ」との交信の電波に誘われ、宇宙からノイズラーが飛来してしまう! 隠された「フィオ」の真実が発覚する時、ユウマはカズオを守ることが出来るのか!?
〔https://m-78.jp/videoworks/ultraman-arc/〕