バニティ [JJ1WTL]

Return to Untold Facts

日本でもあったバニティのお話です.

アメリカでのバニティ取得の優先順位

まず,アメリカでバニティコールサインの制度が始まったときには,一斉よーいどんの争奪戦ではなく,以下の優先順で順繰りに“Gate”が開けられていきました:

GateNoticed onOpened onCriteria
1May 1, 1996May 31, 1996 A previously held individual or club call sign, unassigned for less than two years;
a call sign formerly held by a deceased close relative (spouse, child, grandchild, stepchild, parent, grandparent, stepparent, brother, sister, stepbrother, stepsister, aunt, uncle, niece, nephew, or in-law)
1AJune 21, 1996July 22, 1996[For a club station] A call sign once held by a deceased former member
2Aug. 22, 1996Sept. 23, 1996Amateur Extra class licensees
3July 3, 1997Aug. 6, 1997Advanced class
4Oct. 30, 1997Dec. 2, 1997General, Tech Plus, Technician and Novice class

このように,そのコールを,(1)かつて持っていた本人 と,(2)ご遺族 とに,獲得の最優先権がありました.
いずれも「Gate 1」の位置づけです.


日本でもあったバニティの話

...という話のあとで.

JJ1WUC の,子→父間継承

日本でも JJ1WUC 熊谷「明」OM 亡き後,そのコールサインを 父「誠」OM が継承しています.
コールブックを辿ると,1980年版と1981年版の間で切り替わっています.

1980年版
1981年版

「誠」OMは,同時期にJM1RXMも有していました(こちらはJARL非会員です,1981年版にて).

発給時期からして,急遽こちらJM1RXMを開設,そのあとで息子さんのJJ1WUCに切り替えているように見えます.
もっとも,“切り替え”というか“並存”で,JM1RXMは1986年版まで掲載があります.
1987年版になって消えています.

『ラジオライフ流アマチュア無線の楽しみ方PART2 JARL問題を徹底追求!』(p.139)の中で言及があります:

なお,三重総会のときの指摘は以下のような内容でした(発言者はJR5JRK):

JJ1WUC,昔はJM1RXN,コールサイン貰ったという資料ありますからあとでだしておきます.
〔ラジオライフ1992年8月号『誰も書かない真実のJARL総会』〕

JA3NY の,夫→婦間継承

旦那さんJA3HWがお持ちだった「もう一つのコールJA3NY」――学校に開設――を,追ってXYL(?)が継承しています.


1955(S30)年版


1960(S35)年版

JA3HWの推移.1954(S29)年の開設後,バンド割り当て化,移動局化が図られています.

  

JA3NYの推移.1955(S30)年の開設後,1956(S31)年に廃局されています.住所は「北野中学校」のものですので伏せません.
のちにこれがXYL(?)に引き継がれました.

 

JA2LN の,夫→婦間継承

JA2LNは当初「村上包道」OMに免許されていたようです。(1954.11コールブック)
その後ほどなく「免許拒否」の状況になります。(1955年版コールブック、1957年版で 確認)
1960年版コールブックでは、「村松美恵子」YL(JA2AC XYL)に免許されていることが分かります。
その後も村松YLに免許されているようです。
村上OMが何らかの理由で辞められた(あるいは予備免許で開局されなかった)あと空いていたコールサインを、後に村松YLが同一コールで免許を受けられたという状況でしょうか。
〔Special thanks to JL7WTG〕

戦前の例


戦前の話になりますが,J1DN 杉田倭夫OM亡き後――日本のSK第一号――,妹の杉田千代乃YLが,そのコールサインを継承――日本のYL第一号――しています:


衛星や地上局

一転して近年のお話.
CubeSatなどの衛星や,地上局の場合,“バニティっぽい”コールの先取りで,イキな計らいをしてもらえることがあります:

団体衛星地上局
SOHLA
(The Space Oriented Higashiosaka Leading Association)
JL3YUK
まいど1号
U:宇宙,K:開発
JL3YUS

U:宇宙,S:ステーション
航空高専 JQ1YYY
輝汐
トリプルレター
JQ1ZZZ

トリプルレター
UNISEC
(University Space Engineering Consortium)
JQ1ZUN
しんえん
UNITEC-1
(UNITEC-1:UNISEC Technological Experiment Carrier-1)
 
早大 JQ1ZWS
WASEDA-SAT2,同3
(予備免許のみ)
 
ソラン JQ1ZQW
かがやき
ミドルおよびテールレターが地上局とおなじ
(予備免許のみ)
JQ1YQW

地上局化を睨んであらかじめ立てられた社団局『ソランハムクラブ』)
創価大 JQ1ZEX
ねがい☆゛
"Excel Star"
JQ1ZSU

"Soka University"
明星電気 JQ1ZIJ
WE WISH
地上局で当初見込みのJQ1ZIIの「次」
JQ1ZII JQ1ZIU

既存の社団局JE1ZII『明星電気文京アマチュア無線クラブ』あり
ただし結局はJQ1ZIUとして免許
信大 JR0ZST
ぎんれい
"Shinshu Technology"
JR0ZSU
長野局
"Shindai University"
JR0ZSS
松本局
"Shindai Sub station"

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July 4, 2023, Ryota "Roy" Motobayashi, JJ1WTL