JA1ELY:免許内容開示

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JA1ELYが免許内容の開示を求めたときの顛末です.
各総通が開示を拒否したことに対し,内閣府に行政不服を申立てています.
2001年のことでした.

その後,別な動きとして,総務省から『無線局免許情報検索』が提供されるようになり*,いわば役割を終えました.
*: 2003(H15)年3月17日(月)午前10時開始.

発表の契機内容
審議 http://www8.cao.go.jp/jyouhou/kiroku/h13_09-10/giji55.html

情報公開審査会第3部会開催記録



  1. 日時    平成13年10月29日(月)11:00〜14:20

  2. 場所    情報公開審査会第1会議室

  3. 出席委員 藤井龍子部会長、秋山幹男委員、藤田宙靖委員

  4. 議事の項目等
【中略】

(6)事件名
平成13年諮問第119号「関東総合通信局管内のアマチュア局指定事項の一部開示決定に関する件」
平成13年諮問第120号「沖縄総合通信事務所管内のアマチュア局指定事項の一部開示決定に関する件」
平成13年諮問第121号「四国総合通信局管内のアマチュア局指定事項の一部開示決定に関する件」
平成13年諮問第122号「九州総合通信局管内のアマチュア局指定事項の一部開示決定に関する件」
平成13年諮問第123号「北海道総合通信局管内のアマチュア局指定事項の一部開示決定に関する件」
平成13年諮問第124号「信越総合通信局管内のアマチュア局指定事項の一部開示決定に関する件」
平成13年諮問第125号「北陸総合通信局管内のアマチュア局指定事項の一部開示決定に関する件」
平成13年諮問第126号「東海総合通信局管内のアマチュア局指定事項の一部開示決定に関する件」
平成13年諮問第127号「近畿総合通信局管内のアマチュア局指定事項の一部開示決定に関する件」
平成13年諮問第128号「中国総合通信局管内のアマチュア局指定事項の一部開示決定に関する件」
平成13年諮問第129号「東北総合通信局管内のアマチュア局指定事項の一部開示決定に関する件」

諮問庁
総務大臣

調査審議の内容
上記新規諮問事件につき、情報公開審査会令2条1項に基づき併合の上、審議

【中略】


〔文責:内閣府情報公開審査会事務局〕

答申 http://www8.cao.go.jp/jyouhou/tousin/002-h13/093-103.pdf
諮問庁:総務大臣
諮問日:平成13年9月12日
答申日:平成13年12月19日
事件名:関東総合通信局管内のアマチュア局指定事項の一部開示決定に関する
件 ほか10件(平成13年諮問第119号から第129号まで)

答 申 書

第1 審査会の結論

 総合無線局監理システム内部にある関東総合通信局,沖縄総合通信事務 所,四国総合通信局,九州総合通信局,北海道総合通信局,信越総合通信 局,北陸総合通信局,東海総合通信局,近畿総合通信局,中国総合通信局 及び東北総合通信局管内のすべてのアマチュア局データについての局ごと の呼出符号,電波型式,周波数及び空中線電力(以下「本件対象文書」と いう。)につき,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」 という。)5条1号に該当することを理由に不開示とした個人に免許してい るアマチュア局の呼出符号(以下「本件呼出符号」という。)は,開示すべ きである。

第2 審査請求人の主張の要旨

1 審査請求の趣旨

 本件審査請求の趣旨は,法3条に基づく本件対象文書の開示請求に対し, 平成13年6月11日付け関通無二第125号,同月13日付け沖通第7 6号,同月18日付け四通陸第82号,同日付け九通私第122号,同月 19日付け北通私第8142号,同日付け信通私第52号,同日付け陸通 私第8024号,同日付け海通私第26号,同日付け近通私二第13号, 同日付け中通私第59号及び同月20日付け東通私第24号により,それ ぞれ,関東総合通信局長,沖縄総合通信事務所長,四国総合通信局長,九 州総合通信局長,北海道総合通信局長,信越総合通信局長,北陸総合通信 局長,東海総合通信局長,近畿総合通信局長,中国総合通信局長及び東北 総合通信局長が行った一部開示決定について,これを取り消し,呼出符号 の開示を求めるというものである。

2 審査請求の理由

 審査請求人の主張する審査請求の主たる理由は,審査請求書及び意見書 の記載によると,おおむね以下のとおりである。

 総務省総合通信局はアマチュア局の呼出符号を個人情報としているが, アマチュア局は特定の相手方と通信するものではなく,日本中,世界中の アマチュア無線家と,専ら金銭上の目的でなく技術的興味にもとづいて開 かれた通信を行う。すなわちアマチュア局は,その存在そのものを公開す るのが原則である。それゆえ,電波の規制と管理に必要となるため国の裁 量で与えたアマチュア局の呼出符号は,決して保護すべき個人情報,プラ イバシーではない。

 (社)日本アマチュア無線連盟(JARL)は,1991年まで各総合 通信局及び沖縄総合通信事務所(当時は地方電気通信監理局及び沖縄郵政 管理事務所)からの情報を基に,毎年「日本アマチュア無線局名録」を作 成販売しており,全国のアマチュア局免許人の呼出符号ごとに,希望しな い者を除き,その免許人の氏名を掲載するとともに,無線従事者資格,住 所及び電話番号を約100万局分収録しているところである。

 総務省総合通信局は,呼出符号を不開示にした理由として,呼出符号を 公開すると特定個人を識別することになるとしているが,呼出符号から個 人名を知ることは理論的に絶対に不可能である。呼出符号から知ることが できるのは,以前に総合通信局自らが公示していた古い100万局分であ り,その後に免許された新しい100万局分については認識することは現 在のJARLの会員名簿に掲載されている10万局分を除いては不可能で ある。また,アマチュア局の呼出符号は地域によっては満杯になり現在再 割当がされている。再割当局については,古い局名録から現在の免許人を 特定することはできない。呼出符号から個人名を知ることができるとする 根拠を求める。

 プライバシー保護を盾にして,アマチュア局の呼出符号とその免許情報 を非公開にすると,もともと目に見えない,発射したとたんに弱くなり消 えてしまう性質の電波ゆえに,例えば運用時に違反行為があってもそのこ とは主管庁にも捕捉は難しく,ましてや第三者には全く分からず,秩序あ る電波の利用という点から見逃せない問題である。呼出符号とそれに関す る免許情報を公示すれば,心理的に違反行為が抑制されるものと期待され る。

第3 諮問庁の説明の要旨

1 呼出符号の性格について

 呼出符号は,電波法8条1項3号に定める「識別信号」の一つであり, 無線局の識別を可能とし,混信等の際に電波の発射源を特定するために利 用されるものであり,総務大臣が同法14条の規定に基づき無線局免許を 与えるときに無線局の指定事項の一つとして,無線局ごとに異なった一の 呼出符号を指定している。無線局を運用する際には,指定された自局の識 別信号を付して,その出所を明らかにしなければならないものである。

2 アマチュア局の呼出符号の法5条1号該当性について

 アマチュア局の呼出符号は,無線局ごとに異なった一の呼出符号を指定 されるものである。さらに,当該無線局の無線設備を操作できる者は無線 従事者資格を有する者であって,かつ,その者は当該無線局の免許を受け た者であることが必要である。また,アマチュア無線を行う団体の会合や 関係雑誌の中では,通常,氏名と呼出符号とを一体で呼称するものである。 したがって,アマチュア局の呼出符号は当該無線局を識別できると同時に, その局の免許人をも識別できるものである。すなわち,アマチュア局の呼 出符号は,当該無線局の免許人たる「特定の個人」を識別できる情報その ものであり,法5条1号に該当する。

 同号の規定による「個人に関する情報であって,特定の個人を識別する ことができるもの」であるかどうかの判断は,当該情報が「特定の個人」 を識別できる情報であるかどうかの判断であって,必ずしも個人の氏名及 び住所を知ることが可能かどうかにかかわるものではないと解される。

3 アマチュア局の呼出符号が法令の規定により公にされているか否かにつ いて

 電波法25条の規定により,無線局の免許人の氏名,呼出符号,無線設 備の設置場所,周波数,空中線電力等を公示しているところであるが,ア マチュア局は同条に基づく電波法施行規則によりこの公示対象外とされ ているものである。

 また,アマチュア局を含む全ての無線局が無線通信を行う際には,無線 局運用規則20条等の規定に基づき,呼出符号を用いて呼出・応答を行う よう義務付けているため,無線通信を行う者にとっては自己以外の無線局 の呼出符号を知り得る状況にある。しかし,アマチュア局は常に電波を発 射しなければならない義務はなく,また,利用頻度が低いアマチュア局の 呼出符号はほとんど知り得ない状況にある。さらに,アマチュア無線の運 用が許される周波数帯は20バンド近くあるとともに,通信手段や用途な ど多岐にわたる利用が行われている中で,個人的な興味によって相手方の ない無線通信の技術調査等を行っている場合などもあり,アマチュア局を 運用する者にとっても,呼出符号をすべて知り得る状況にあるとは言えな い。

 以上から,呼出符号が,法5条1号ただし書イにいう法令の規定により 公にされる情報であると言うことはできない。

4 JARLが発行・市販するアマチュア無線局会員局名録の存在が慣行に より公にされている情報と言えることになるかの点について

 昭和36年以前においてはアマチュア局の免許人氏名,設置場所,呼出 符号等を公示していたこと,また,アマチュア無線関連団体が行う監査指 導業務に寄与する観点から,1991年までは全国の電気通信監理局(当 時)からJARLに対して,アマチュア局の免許人に関する情報を提供し ていたところである。しかしながら,1992年以降は,個人情報保護の 観点から個人の権利利益を保護する上で細心の注意を払う必要から当該 情報の提供は行っていない。したがって,現在発行されている「アマチュ ア無線局連盟会員局名録」には,その掲載を希望したJARL会員につい てのみ,氏名,無線従事者資格,住所及び電話番号について掲載されてい るところであって,すべてのアマチュア局に対応する呼出符号が公にされ ていると言うことはできない。したがって,呼出符号が慣行により公にさ れていると言うこともできない。

第4 調査審議の経過

 当審査会は,本件諮問事件について,以下のとおり,調査審議を行った。
@ 平成13年9月12日 諮問の受理
A 同日 諮問庁から理由説明書を収受
B 同年10月18日 審査請求人から意見書を収受
C 同月29日 審議
D 同年11月26日 諮問庁の職員(総務省総合通信基盤局電波部移動 通信課無線局検査官ほか)からの口頭説明の聴取及 び審議
E 同年12月10日 審議
F 同月17日 審議

第5 審査会の判断の理由

1 本件対象文書及び不開示の内容について

 本件対象文書は,全国の総合通信局及び沖縄総合通信事務所において各 管内の無線局免許に関する情報が電子計算機内にデータベース化されてい る総合無線局監理システムに記録されているデータである。開示の実施に 当たっては,総合通信局及び沖縄総合通信事務所においてそれぞれ管内の 無線局につき,本件対象文書に係る情報を電子計算機端末から抽出し,光 ディスクに記録することにより行われるものである。そして,処分庁が不 開示とした本件呼出符号は,免許されたアマチュア局のうち,個人が免許 人となっているアマチュア局の呼出符号である。

2 呼出符号の性格について

 アマチュア局の呼出符号は,総務大臣から当該無線局の免許を付与される 際に指定されるものであること,また,その呼出符号は,無線局の識別を可 能とし,電波の発信源を特定するために利用されるもので,当該局ごとに一 つの呼出符号が指定され,また,アマチュア局は,無線従事者であって,か つ,当該無線局の免許を受けた者本人が運用する必要があるものであること は,電波法及び無線局運用規則の規定から明らかである。

3 呼出符号の法5条1号該当性について

(1)特定の個人を識別することができる情報か否かについて

 アマチュア局の呼出符号は上記2の性格を持つことから,諮問庁の主張 するとおり,本件呼出符号は当該呼出符号を付与されたアマチュア局の一 免許人に対応する情報であると言うことはできる。しかしながら,その対 応関係はあくまでも一つの呼出符号が一免許人に対応していることを表 すに過ぎず,当該呼出符号に対応する免許人が誰であるかまでを識別する ことができるものと言うことはできない。したがって,本件呼出符号は, それのみでは特定の個人を識別することができる情報に該当するとは言 えない。

 なお,現在JARLが発行・市販するアマチュア無線局連盟会員局名録 には,アマチュア局免許人のうちJARL会員について掲載を希望しない 者を除いた氏名,無線従事者資格,住所及び電話番号が掲載されていると ころであり,ここに掲載された呼出符号については,法5条1号本文の特 定の個人を識別することができる情報には該当するものの,同号ただし書 イの慣行として公にされている情報に当たり,開示すべきものであると考 えられる。

(2)個人の権利利益を害するおそれがある情報か否かについて

 次に,本件呼出符号について,特定の個人を識別することはできないが, 公にすることにより,なお個人の権利利益を害するおそれがある情報であ るかどうかを検討するに,呼出符号は,無線通信を行う際に無線局の識別 をし,かつ,電波の発信源を特定するために利用されるものであって,ま た,無線通信を行うに当たっては,無線局運用規則の規定に基づき,自局 に指定された上記の呼出符号をもって呼出し,応答,送信等を行うもので, 通信の際には他の者が当該呼出符号を当然知り得る性質を有するもので ある。これらの事実に照らせば,本件呼出符合は,公にすることにより, 個人の権利利益を害するおそれがあるものとは言えない。また,本件呼出 符号が,既に開示決定されている部分と一体で公にされるとしても,個人 の権利利益を害するおそれがあるものとは言えない。

 したがって,本件呼出符号は,5条1号の不開示情報には該当せず,開示 すべき情報と言うべきである。

4 本件一部開示決定の妥当性

 以上のことから,本件呼出符号については,第1記載の審査会の結論のと おり判断した。

第6 答申に関与した委員

 藤井龍子,秋山幹男,藤田宙靖


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Nov. 30, 2013, Ryota "Roy" Motobayashi, JJ1WTL