かつては免許状に付記された「宇宙無線通信(の業務)を含む」.
現れてから消えるまでを明らかにします.
1976年1月1日〜2005年5月8日の免許の局が対象でした.
(以下,「移動範囲」の変遷についても並行して辿れるようにします.)
1973年に,『無線局免許手続規則』の改正で,アマチュア局専用の免許状の様式が定められました(S48省令15,施行S48(1973)年5月18日).
このとき,『通信事項』としては「アマチュア業務に関する事項」しかありませんでした:
1976年施行の改正で,「宇宙無線通信」が定義されました(S50省令20,施行S51(1976)年1月1日).
上で,
「第二条」というのは“免許の単位”を定めた条文です.
「第三項」というのは“業務が分かれたら免許は別だけど,例外もありよ”ということを定めています.
曰く,「二以上の種別の無線局の業務をあわせて行うことを目的として単一の無線局の免許を申請することはできない。但し、左に掲げる場合は、この限りでない。」.
その例外の一つとして,「アマチュア業務」と「宇宙無線通信の業務を含むアマチュア業務」とは,わざわざ別免許にしなくていいからね――と,このとき定めました.
同時に,『通信事項』に関する前項の注16のバリエーションが,
・アマチュア業務に関する事項
・アマチュア業務(宇宙無線通信の業務を含む。)に関する事項
の二択に広がりました.
すなわち,このときに登場しました:
『無線局事項書及び工事設計書』が改正されました(S54省令11,施行S54(1979)年8月1日).
直接は関係しませんが,1986年の改正で,
アマチュア局
|-(以下以外)
|-人工衛星に開設するアマチュア局
+-人工衛星に開設するアマチュア局の無線設備を遠隔操作するアマチュア局
のカテゴリが新設されます(S61省令25,施行S61(1986)年6月1日).
アマチュア局むけの「目的コード」として,2種類が定義されました(H10告示148,即日施行H10(1998)年4月2日).
いつのまにか
「宇宙無線通信の業務を含む。」から
「宇宙無線通信を含む。」に変わり,
「の業務」が抜け落ちました.
正確な時期は追い込めませんでしたが,遅くとも1998年までには切り替わったようです.
2005年施行の改正で,「(宇宙無線通信を含む。)」の付記が割愛されるようになりました(H16省令134,施行H17(2005)年5月9日).
総務省の資料から抜粋して図示します:
同時に,『無線局免許申請書等に添付する無線局事項書の無線局の目的コードの欄及び通信事項コードの欄に記載するためのコード表』というのが定められました(H16告示860,施行H17(2005)年5月9日).
アマチュア局関連では以下の2種類があります:
目的コード
通信事項コード
このときに,コード「ATS」の定義が切り替わっています.
旧「ATS」は,新コードの採用時に「ATC」に包含されれました.
実際,告示の『附則』には,以下のような『経過措置』が定められていて,上から
・上段 … 旧 目的コード
・中段 … 新 目的コード
・下段 … 新 通信事項コード
となっています.
もう一回,かつての区分の話(1986年〜)に戻ります.
このころのアマチュア局の区分は,「『無線局等情報検索』での開示の対象」と不一致でした.
おなじ『アマチュア局』の中で,開示されるもの・非開示のものが混在していました:
アマチュア局
|-(以下以外) →開示
|-人工衛星に開設するアマチュア局 →開示
+-人工衛星に開設するアマチュア局の無線設備を遠隔操作するアマチュア局 →【非】開示
これを一致させてわかりやすくるために,2005年施行の改正では,
アマチュア事項 →開示
アマチュア業務(人工衛星追跡管制)に関する事項 →【非】開示
と,「無線局情報の公表レベルを判定する区分」に則して,きれいに揃えました.
このとき,プロの無線局では
・目的 … 138区分 → 9区分
・通信事項 … 221区分 → 124区分
に改正・簡素化されました(H25告示143,施行H26(2014)年5月9日).
「H16告示860」は生き続けましたが,その中の「別表第一号」(目的コード)・「別表第二号」(通信事項コード)が全とっかえされる大改正となりまでした.
しかしアマチュア局については2004年の区分のままで変わっていません.