TSSの生い立ちです.総務省が公募して,TSSが唯一応募した形となっています.
難関なのは「指導員」(各県に二人以上)と「測定器」の確保.
別途調べると,JARDのものをシェアさせてもらっています.
「指導員」の頭数は,のちのJARDの再参入の際に緩和され,エリアごと(沖縄も)に2名以上となりました, |
また,以下のようなことも読み取れます:
(1) TSSは3ヶ月前までに「やめるもんね」宣言をすれば,いつでも保証認定業務をやめられ;
(2) TSSに限らず別の事業者が参入することも可能(無期限で募集中).
当時のQTC-Japanによると――
総務省(旧郵政省)主導の今回の民間会社への移管は、「法律に基ずかない保証認定業務を社団法人や財団法人がやってはならない」という閣議決定によるものと説明されています。
――だそうです.
すなわち――
・“法律”ではなく“省令”で,総務省が好き放題公益法人を作って,
・検査などの許認可の権限をそこに与えて,お金が回るスキームを作り,
・末はそこに皆で天下って左うちわガハハ
――なぁんてことを許さないようにするためです.
公示日 業務開始日 | 内容 |
---|---|
新規制定 | |
H13(2001).2.5 ― |
●“保証認定事業者”の募集
2014年の改正の際に,本文書の採番が『総基移第8号(平成13年2月5日)』というものであったと判明. |
H13(2001).2.27 H13(2001).4.1 |
●結果発表 |
H27(2015).3.19 H27(2015).1.19 |
●移転 |
H30(2018).1.17 H29(2017).11.15 |
●移転(実際はH28(2016)年3月1日に同地に移転ずみ) |
R5(2023).2.7 R5(2023).3.31 |
●終了 |
まず最初に,電波法まで遡って「TSSによる保証の位置づけ」をまとめますと,下図のようになりました(クリックで拡大します):
ここでは「第15条の5」を「15-5条」のように表記しています.
なお「第15条の5」と「第15条第5項」とは意味が異なります.
前者は「第15条」と同格の条文で,「第15条」と「第16条」との間に追加されたものです.
インターチェンジの番号と同じ だと思ってください(例: 中央道の「長坂」は「17-1」).
もっとも条文の番号では「第○条の1」は用いず,「第○条の2」から始まります.
さて,以下で順に「縦」にたどります.
免許の申請の審査について規定しています.
「200W以下のアマチュア局で,“保証”を受けた無線設備を使用するのであれば,手続きを簡略にできるよ」
と定めています.
このストラクチャ自体は従前から変わっておらず,以下の変遷を経て今の形に落ち着いています:
施行日 | 上限出力 | 保証の実施者 |
---|---|---|
S37(1962).11.12 | 10W | JARL |
S58(1983).7.8 | 100W | |
H4(1992).4.1 | JARD | |
H8(1996).4.1 | 200W | |
H13(2001).4.1 | TSS |
工事設計の変更について規定しています.
「ほんとうは事前の許可がいるんだけど,
・200W以下の送信機の取替・増設 か,
・200W以下の送信機の部品の工事設計
で,“保証”を受けたんだったら,不要だよ」
と定めています.
変更検査について規定しています.
「ほんとうは変更検査がいるんだけど,200W以下の「設置場所」の変更で,“保証”を受けたんだったら,不要だよ」
と定めています.
ここまで“保証”としてきた部分は,法令の原文では以下のように述べられています
(「・」印は筆者によります):
〜2014(H26).7.22 | 2014(H26).7.23〜 |
---|---|
株式会社又は有限会社
(・アマチュア無線用機器の製造業者及び販売業者、 又は ・これらの者がその役員の三分の一以上若しくは議決権の三分の一以上を占めるもの を除き、 総務大臣が別に定めて公示するところによるものに限る。) により、 総務大臣が別に定める手続に従つて、 法第三章の技術基準に適合していることの保証 |
総務大臣が別に定めるところにより公示する者
による、 総務大臣が別に定める手続きに従つて行つた 法第三章の技術基準に適合していることの保証 |
...かいつまむと,
・従来…「公示された株式会社または有限会社」が保証
・いま…「公示された者」が保証
――となっています.
その「公示された者」,原文ですと上表のとおり
〜2014(H26).7.22 | 2014(H26).7.23〜 |
---|---|
株式会社又は有限会社(アマチュア無線用機器の製造業者及び販売業者、又はこれらの者がその役員の三分の一以上若しくは議決権の三分の一以上を占めるものを除き、総務大臣が別に定めて公示するところによるものに限る。) | 総務大臣が別に定めるところにより公示する者 |
のことを,総務省では掲題のように「アマチュア局の保証実施者」と呼んでいます.
その選定のプロセスとしては――
(1) 総務大臣が「アマチュア局の保証実施者」の『要領』を定め,
(2) TSSがそれに応募して『受け付け』られた
――形になっています.
これら(2)ならずも(1)とも官報で「公示」されていますので,「総務大臣が別に定めて公示する」の条件を満たしています.