外国人ハムが運用できた記念局

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外国人ハムが運用できた記念局を,告示でたどってみます.9回あります:

  1. 8J1WJ 第13回ワールドジャンボリー
  2. 8J3ITU 第14回CCIR総会
  3. 8N1WCY 世界アマチュア無線国際会議
  4. 8J1XPO つくば科学万博
  5. 8N1APT APT(アジア・太平洋電気通信共同体)アマチュア無線セミナー
  6. 8N3ITU ITU京都全権委員会議
  7. 8N0WOG 長野冬季オリンピック
  8. 8J2AI 愛・地球博
  9. 8N23WSJ 第23回ワールドジャンボリー

このような告示があれば,レシプロ対象外の外国人ハムでも運用ができます.
法的な根拠は,『電波法施行規則』にある以下の条文です:

第三十四条の十 法第三十九条の三ただし書の郵政省令で定める場合は、臨時に開設するアマチュア局の無線設備の操作をその操作ができる資格を有する無線従事者の指揮の下に行う場合であつて、郵政大臣が別に告示する条件に適合するときとする。
外国人ハムが運用できた記念局
告示日
適用日・施行日
内容
 
S46(1971).8.2
同上
●8J1WJ.本土初の8J局です.JARLの局ではない点・本来「2」エリアの点についても,ご注目ください.〔S46告示569〕
 
S53(1978).6.7
同上
●8J3ITU.「ITUデー」ではなく,「CCIR総会」が対象でした.〔S53告示377〕
S58(1983).9.7
S58(1983).9.25
●8N1WCY.初の8N局です.8Nには,当初,「外国人ができる」ことを示す意図があったことが伺えます.サフィックスはこの年1983年の"World Communications Year"から.〔S58告示691〕
 
S60(1985).3.15
S60(1985).3.17
●8J1XPO.8Nではなく,8Jが使われました.〔S60告示175〕
 
H6(1994).6.10
H6(1994).6.14
●8N1APT.根拠とする施行規則の条文がこのときから変わりました:33条(1項14号) → 34-10条.〔H6告示338〕
H6(1994).9.5
H6(1994).9.17
●8N3ITU.これも「ITUデー」ではなく,ITUの京都全権委員会議です.〔H6告示473〕
H9(1997).12.17
H10(1998).1.24
●8N0WOG.〔H9告示650〕
H17(2005).3.9
H17(2005).3.25
●8J2AI.「一アマ・二アマの指揮の下」の制限がなくなりました.〔H17告示277〕
 
H27(2015).4.14
即日
●8N23WSJ.ARISSスクールコンタクトとのセットです.〔H27告示166〕

参照条文の変遷

そもそも,
昭和33年11月5日郵政省令第26号(即日施行)で,『電波法施行規則』の第33条が全改正され,その13号で,

 (無線設備の操作の特例)
第三十三条 法第三十九条但書の規定により、無線従事者の資格を要しない場合を左の通り定める。
  【中略】
十三 前各号に類する場合であつて、郵政大臣が別に告示するもの

というワイルドカード定められました.


ただし,のちの
昭和36年6月1日郵政省令第12号(即日施行)で,「号」の番号が一つ後送りになっています:

第三十三条...、同条中第十三号を第十四号とし、...。

以降,この規定は「第三十三条第十四号」として参照されることになります.すなわち以下です:

 (無線設備の操作の特例)
第三十三条 法第三十九条但書の規定により、無線従事者の資格を要しない場合を左の通り定める。
  【中略】
十四 前各号に類する場合であつて、郵政大臣が別に告示するもの

8J1WJから始まった外国人による記念局の操作は,この条文を根拠にしていました.


さらに
昭和58年1月31日郵政省令第1号(電波法の一部を改正する法律(昭和五十七年法律第五十九号)の施行の日から施行)により,同条に第二項(=「2」)が新設されました:

第三十三条...、同条に次の一項を加える。
2 法第三十九条ただし書の規定により、船舶局無線従事者証明を要しない場合を次のとおり定める。
  【後略】

このため,以降この条文を参照する際には「第一項」が挟まれ,「第三十三条第一項第十四号」と表されるようになりました:

 (無線設備の操作の特例)
第三十三条 法第三十九条但書の規定により、無線従事者の資格を要しない場合を左の通り定める。
  【中略】
十四 前各号に類する場合であつて、郵政大臣が別に告示するもの

2 法第三十九条ただし書の規定により、船舶局無線従事者証明を要しない場合を次のとおり定める。
  【後略】

さらにのち,
平成6年6月2日郵政省令第34号(即日施行)により,「第三十四条の十」という独立した条文に昇格し,アマチュア局での扱いが明確化されました:

 第三十四条の十一を第三十四条の十二とし、第三十四条の十を第三十四条の十一とし、第三十四条の九の次に次の一条を加える。
第三十四条の十 法第三十九条の三ただし書の郵政省令で定める場合は、臨時に開設するアマチュア局の無線設備の操作をその操作ができる資格を有する無線従事者の指揮の下に行う場合であつて、郵政大臣が別に告示する条件に適合するときとする。

ここで,「第三十四条の十」というのは,「第三十四条」と“同格”の条文になります.
したがっていまでは,この条文

第三十四条の十 法第三十九条の三ただし書の郵政省令で定める場合は、臨時に開設するアマチュア局の無線設備の操作をその操作ができる資格を有する無線従事者の指揮の下に行う場合であつて、郵政大臣が別に告示する条件に適合するときとする。

が,
(1) レシプロ対象ではないアマチュアに日本国内で操作を許す場合
(2) ARISSスクールコンタクトで従事者免許を持たない小中学生に操作を許す場合
(3) 体験のための臨時の局で従事者免許を持たない者に操作を許す場合
の,それぞれの根拠となっています.


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May 9, 2020, Ryota "Roy" Motobayashi, JJ1WTL