アマチュア無線通信教育史

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■CQアマチュア無線普及会

このコースは文部省認定ではありませんでした.
だからダメ...というワケでは必ずしもなく,「文部省認定でない」ことの損得は,以下のような点でしょう:
・Cons……郵便料金が割引にならない; コースの信頼性がいまひとつ.
・Pros……同会のように期間2ヶ月のコースが設定可能.
     ∵文部省の認定を受けるためには,6ヶ月以上の期間であることが必要.

「文部省認定」でないと,手としては雑誌広告から調べるしかありません.
国会図書館で『初歩のラジオ』誌と格闘してきました.

いつから?

あらかじめインターネット検索でアタリをつけてみますと,1969年にはすでに存在していたことが判ります:

『[漫画][古雑誌]1969年の週刊少年マガジンはこんな感じ その3 他社広告、漫画に侵食していた記事など』
http://d.hatena.ne.jp/soorce/20081016

電話アマが生まれたのは1958年ですから,1958〜1969年の間をつついて追い込んでいくことにします.
すると...1967年3月号で広告が初出でした.
ですので「1967(S42)年から」と言えます.

いつまで?

逆行検索をかけますと...

・1984年8月号……広告あり
・1984年9月号……国会図書館に蔵書なし(誤って「1983年9月号」が合本)
・1984年10月号……広告なし

という結果になりました.
「初ラ1984年9月号」が確認できていませんが,いずれにせよ「1984(S59)年まで」であることは追い込めました.

最後の出版物

1985年6月10日に,誠文堂新光社から,同会の編集による以下の2冊と,テープが発行されていることが判ります:

(1) 『初級アマチュア無線テキスト』
(2) 『なっとく!これだけやれば絶対合格 電話級アマ国試、無線工学必勝のポイント77』
(3) 『電信級〈モールス〉合格虎の巻カセット』

つまり,「1985年6月までは存在した」のです.
しかし,これ以降を探しても見つからず.

『初級アマチュア無線テキスト』

1989年刊の第4刷を古本で入手しました(250円+送料250円).
「はじめに」によりますと,「代表」は「矢田邦雄」という方になっています.

『なっとく!これだけやれば絶対合格 電話級アマ国試、無線工学必勝のポイント77』

1983年9月号で確認できる,広告で表紙だけチラ見せしている 『合格トラの巻(ポイント77)』 の“焼き直し”でしょう.
表紙もタイトルも似ています.

『電信級〈モールス〉合格虎の巻カセット』

「電話アマがあれば1分の受信だけで電信アマになれる」――という触れ込みでした.
∵1985(S60).1.1施行で,電話アマの所持者は,電信アマ受験時の法規・無線工学が免除になりました〔S59郵政省令50〕.
なお,三アマになる前,電信アマ時代の電気通信術の試験時間は短くて,1分間でした.

指導者

初期の広告に「本会指導部員」としてJA1ZF竹内OMが紹介されています.

まとめ

...まとめますと,同会は1967年から続けてきた通信教育を1984年に終了.
蓄えてきたアセットを1985(S60)年に誠文堂新光社から出版し,広く放出.
いま流にかっこよく言えば,バーティカルからホリゾンタルにビジネスモデルを変えた――印税生活にシフト――ということになります.

冒頭の図では,通信教育の終了時期を採用し「1984(S59)年まで」としました.
その後,1985年6月に出版で一区切りつけたのち,同会がいつ店じまいしたのか?は,不明です.

広告にあるJA1ZEA

同会の広告でおなじみのJA1ZEAですが,コールブック(1978年版)を紐解きますと,

・クラブQRAは 『日本電子科学ハムクラブ』,
・クラブQTHは 「日本電子科学普及協会内」

となっています.

どうやら“姉妹普及(協)会”があったようです.
クラブの代表者は,これまたJA1ZFです.


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Sept. 8, 2012, Ryota "Roy" Motobayashi, JJ1WTL